Vol.4 剛域の設定
Civil Tips 2010.12.21フレーム解析を行う際、多くの場合柱と梁の接合部には剛域を設定します。midas Civilではこの剛域設定にいくつか便利な機能がありますので紹介します。対象とするのはの図1に示す簡単な2層のフレームモデルです。下端完全固定で断面寸法は何でも構いません。
この柱と梁の接合部に剛域を設定します。ツリーメニューのモデリング>境界条件>の下に次の3つの項目があります(図2)。
①梁要素の端部剛域設定
②剛体連結
③剛域の考慮
先ず、(1)梁要素の端部剛域設定ですが、ここでは梁要素の端部(i端、j端)にそれぞれ剛域に相当する長さを入力します。形式として「グローバル」、「要素」というのがありますが、基本とする座標系のことで、2次元であれば要素軸方向の剛域だけ考えてやればよいので「要素」(座標系)を選択します。この例では柱端部に梁せいの1/2すなわち0.4m、梁端部に柱せいの1/2の0.3mの剛域長を設定しました。(図3)モデル図では剛域に設定された領域がグリーンで表示されています(図5左)。
次に、(2)剛体連結で剛域を設定してみます。これは剛域を設定すると言うより、柱、梁の端部を剛域長だけ短くした要素とし、その端節点を柱梁の格点(交点)を代表節点としてこれに従属させるというものです。剛体連結は図4のダイアログで代表節点番号を入力し、従属させたい節点を選択して適用すればOKです(図5右)。剛体連結の自由度は2次元解析であればX-Z平面でも問題ありません。
最後に、(3)剛域の考慮をダブルクリックすると図6のダイアログが現れます。ずいぶんシンプルですが、ここで「剛域の考慮による剛域長さの自動計算」を選択すると特に何の設定をしなくても剛域を設定してくれます。剛域長は「剛域長さの補正係数」で設定し、1であればフェイス(柱と梁の境界)となり、0とすれば剛域無しの場合と同じ結果が得られます。補正係数(剛域長)を0.5とし、断面力の出力位置をフェイスとすることもできます。ただし、柱と梁で別々の補正係数を与えることはできません。また、全体座標系Z軸に平行な梁要素はすべて柱部材に、全体座標系X-Y平面に平行に配置された梁要素はすべて梁部材に自動的に認識されてしまいます。それ以外の梁要素の剛域は自動的には設定されないので、必要に応じて(1)あるいは(2)によって設定することになります。
さて、図7のような荷重を載荷した結果を(1)~(3)で比較したのが図8です。剛域は全てフェイス位置としています。(2)の剛体連結で微妙な差が認められますが、変位、モーメントとも同じ結果が得られています。
それでは三次元的に剛域を設定するにはどうすれば良いでしょう。それには剛体連結を使うか、梁要素の端部剛域設定のグローバル座標系で定義します。例えば図9のような柱と梁が偏心して接合されている場合を考えます。これを剛体連結およびグローバル座標系でモデル化するとそれぞれ図10のようになります。偏心させる場合は、柱と梁の軸線は繋がっていなくてはなりません。その上で柱の位置を本来の位置に仮想的にずらしてやります。梁端3方向に節点荷重を載荷した結果、変形図とモーメント図が一致しているのが確認できると思います(図11、図12)。