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Vol.5 移動荷重の解析

Civil Tips 2011.01.07

フレーム解析において移動荷重を載荷すると言うと少し難しく聞こえますが、実はそうでもありません。基本的には節点を無限にとり、時系列で順に荷重を載荷していけば移動荷重になります(図1)。しかしながら無限に節点を取るのは現実的ではないので、ある程度(かなり)離散的に節点を設け、隣り合う節点どうしで荷重を分担してやれば同様のことができます。

図1 移動荷重の考え方

 例えば図2のように荷重が節点i上にあるときはその両隣の節点荷重はゼロ、荷重がi→jに移動するにしたがい、節点iの荷重を減少させ節点jの荷重を増加させます。これを順次時系列でつなげてやれば、移動荷重をシミュレーションすることができます。ただし、時間で変化する荷重を取り扱うので動的解析を行うことになります。ここでは実際にモデルの節点数と移動荷重の速度によって結果がどのように変わるか単純梁で計算してみました。

図2 移動荷重のモデル化

 解析モデルは図3に示す長さ5mの単純梁で要素の分割数を4,8,16の3通り、移動荷重の速度を1、5、10m/sの3通りとしました。梁要素の断面、材料は何でも構いません。境界条件はピンとピンローラーです。モデルの作成は至って簡単ですが、注意しなければならないのは、考慮したい変形形状を動的解析で再現できるモデルとすることです。これは固有値解析結果で、考慮したい振動モードが再現されているかを見ればわかります。

図3 梁モデル

 例えば柱の軸方向の荷重変動を見たい場合には軸方向の振動モードが含まれていなければなりません。ここでは、鉛直方向だけの振動を考えるので、解析モデルの基本設定でX-Z平面、自重はZ方向に質量変換としました(図4)。固有値解析制御では必要とする「解析するモード数」を指定しておきます(図5)。

図4 解析モデルの基本設定

図5 固有値解析制御

 時刻歴荷重ケース>追加:で時刻歴解析の基本設定をします。ここでは図6のように設定しました。

図6 時刻歴荷重ケースの追加

 次に時刻歴荷重>時刻歴荷重の追加:で節点上に載荷する荷重を定義します(図7)。これは要素長さと速度で変わりますが、要素長さ1.25m、速度1m/sの場合、1.25秒でピーク(ここでは100kgf)となるように設定します。

図7 時刻歴荷重の追加

 ここで定義した時刻歴荷重関数を、時刻歴応答解析>時刻歴節点荷重制御データ:の「関数名」で選択します。ここで遅延時間は1要素を通過するのに必要な時間を順に累加していきます。ただし、節点を一つずつ選びながら右の設定をするのは大変なので、荷重テーブル>時刻歴節点荷重制御データ:にてテーブル入力、もしくはエクセルから貼り付けるとよいでしょう(図8)。なお、この時刻歴節点荷重に複雑な関数系(連続する列車荷重など)を定義することも可能です。

図8 時刻歴節点荷重制御データ

 さて、解析結果ですが、梁中央のたわみの時刻歴をプロットしてみました(図9)。当然、分割数が大きい程なめらかな結果が得られています。また、速度が大きいほど、移動荷重による動的効果および荷重通過後の過渡振動に顕著な差が現れています。ただし、動的効果については、解析方法や、時間刻み、減衰等の影響を受けるので注意が必要です。midas Civilではこれらの結果を周波数領域でも表示することもできますし、グラフとともにエクセル形式で保存することもできます。

図9 解析結果

ここで16分割の梁モデルの中央に柱を入れて解析してみました。ある時間における断面力の出力例を図10に示します。これらの結果をアニメーションで表示すると断面力の変化する様子がよくわかります。さて、ここでは非常にシンプルな例を紹介しましたが、移動荷重による構造物の三次元的な挙動を解析することも可能なので是非一度試してみて下さい。

図10 移動荷重時の断面力

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