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2次元平面ひずみ解析において側方境界が解析結果に与える影響について

解析全般 2022.12.01

1.はじめに
 2次元平面ひずみ解析において、解析領域をどの程度に設定することが妥当であるかという議論が時折行われる。しかし、側方の解析領域の違いがどのように解析結果に影響を与えるかは意外に検討されていない。
 ここでは、下記の3ケースにおいて側方の解析領域が異なる解析を行い、側方の解析領域の違いによりどのように変位量が異なるかを調べた。
  ケース①:中央に集中荷重載荷の場合
  ケース②:トンネル掘削の場合
  ケース③:土留め掘削の場合

2.ケース①(中央に集中荷重載荷の場合)
 図-1のように半断面のメッシュにおいて、中央部に集中荷重を載荷した際に、側部の境界が中心から25m,35m,45m,55mの4ケースにおいて、荷重載荷位置の鉛直変位がどのように異なるかを調べた。

図-1 集中荷重載荷位置とメッシュ図

 

 その結果を表-1に示す。表からわかるように解析領域の影響はほとんどない。

 

表-1 荷重載荷位置の鉛直変位量

 

3.ケース②(トンネル掘削の場合)
 図-2のように、半断面のメッシュで円形トンネルを掘削(掘削解放率100%)した際の地表面(中央)、地表面(中央から1.5D)、トンネルSL位置の変位がどのように異なるかを調べた。

図-2 トンネル掘削解析におけるメッシュ図

 

 その結果を表-2に示す。表からわかるように解析領域の影響はほとんどない。

 

表-2 各位置における変位量

 

4.ケース③(土留め掘削の場合)
 図-3のように半断面のメッシュで、中央部を掘削した際に、側部の境界が掘削面から2D:20m,3D:30m,4D:40m,5D:50mの4ケースにおいて、掘削底面中央、掘削壁面最大、地表面(壁面頂部)、地表面(壁面より4m)の各変位がどのように異なるかを調べた。

図-3 土留め解析におけるメッシュ図

 その結果の水平変位を表-3に、鉛直変位を表-4示す。
 ここで、表-3の水平変位を見ると、掘削壁面の最大値で20%程度の違いがあり、地表面変位では変位の向きが異なるなど違いが大きい。
 しかし、表-4の鉛直変位を見ると、違いは小さい。

表-3 各位置における水平変位量(mm)

 

表-4 各位置における鉛直変位量(mm)

 

5.おわりに
 2次元平面ひずみ解析における側方の解析領域の違いが変位に与える影響を、下記の3ケースの場合で調べた。
  ケース①:中央に集中荷重載荷の場合
  ケース②:トンネル掘削の場合
  ケース③:土留め掘削の場合
 その結果、ケース①、ケース②では、側方の解析領域の違いが変位に与える影響は小さかったが、ケース③では、とくに水平変位量に関しては差があった。
 このため、土留め掘削のような解析では、側方の解析領域に注意する必要がある。

(ご)

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