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Dianaによるケーソン基礎載荷試験の再現解析

DIANA Tips 2022.12.27

 平成8年より前の道路橋示方書で設計された既設ケーソン基礎は,現在の水準に比べると極端に鉛直軸方向鉄筋量が少ないケースが多い.平成8年以降の道路橋示方書は,十分な強度と変形性能を有するように,中空断面橋脚の載荷実験結果なども参考にしながら,軸方向鉄筋量,水平鉄筋及び中間帯鉄筋配置に関する構造細目が規定されている.
 本コラムでは,図-1の領域①にあるケーソン基礎を対象とした土木研究所の「橋梁基礎の耐震補強技術に関する試験調査」におけるケーソン基礎載荷試験の再現解析をDiana(汎用構造用解析ソフト)を用いて行い,大地震時に脆性的な破壊が懸念されるケーソン基礎について,どのくらいの精度で応答を再現することができるか検証した.

図-1 ケーソン内鉄筋量比較

1. 載荷試験概要
 試験方法は,橋軸直角方向に正負交番水平載荷とし,死荷重相当の鉛直力(350kN)を導入したままの状態で,上部構造位置に設置した油圧ジャッキにより繰り返し水平変位を与えた.軸方向鉄筋比は0.16%,帯鉄筋比は0.18%とし,頂版については,損傷が生じないよう十分な鉄筋量を配置する.

表-1.1 材料試験結果

図-1.3 ケーソン本体の特性

図-1.4 載荷履歴図

2. 解析条件
 解析モデルは解析時間を短縮するため,対称性を考慮し供試体の半分をモデル化した.載荷試験では,死荷重相当の鉛直力を導入したままの状態で橋軸直角方向に正負交番水平載荷を行っているが,解析では,死荷重相当の鉛直力を与えた状態で強制変位を単調漸増水平載荷および正負交番漸増水平載荷で与える2ケースを行った.

図-2.1 全体図および断面図

図-2.2 地盤ばね要素およびケーソン部

〇軸方向鉄筋および帯鉄筋
・タイプ:埋込鉄筋要素_完全弾塑性モデル
・降伏判定:Von Mises降伏基準

〇コンクリート
・物性値:コンクリート標準示方書に基づいて算出
・コンクリートのひび割れモデル:回転ひび割れモデル
※ケーソン本体のコンクリートには非線形性を考慮するが,橋脚部およびケーソン部頂版,底版のコンクリートは弾性とする.

〇地盤ばね
・地盤ばね係数:現行道示Ⅳに基づいて算出

〇載荷パターン
・単調漸増水平載荷ケース

図-2.3 載荷パターン_単調漸増水平載荷

・正負交番漸増水平載荷ケース
 試験では1δy,2δy,4δy,6δyごとに繰返し水平変位を3サイクル与えているが,本解析では,1サイクルとして,図-2.4に示す水平変位を与えた(実際には2000Stepで解析を終了した).

図-2.4 載荷パターン_正負交番漸増水平載荷

3. 解析結果
3.1 単調漸増水平載荷
 図-3.1のa~d点は図-3.3の損傷状況の図と対応している.荷重変化時(a点)に達するまでの解析結果の剛性勾配は,試験結果と同程度である.+1~6δy付近までは解析結果で得られる水平力は,試験結果より小さく評価していることがわかる.また,試験で見られた+6δy以降の荷重低下を再現することができなかった.
 図-3.3は鉛直方向(z方向)のひずみを用いてひび割れ状況を表している.図-3.2の試験後の写真に示す頂版付近の斜めせん断ひび割れは解析で再現できなかったものの,最終的に破壊が生じた位置は試験と概ね一致する結果となった.

図-3.1 載荷点での荷重-変位関係

図-3.2 試験後のケーソン模型の損傷状況

図-3.3 各載荷変位時における損傷状況

3.2 正負交番漸増水平載荷
 単調漸増水平載荷では再現することができなかった+6δy以降の荷重低下を再現することができた.また,解析結果で得られる水平力は,単調漸増水平載荷と同様に試験結果より小さく評価していることがわかる.

図-3.4 載荷点での荷重-変位関係

参考資料
 1)土木研究所:橋梁基礎の耐震補強技術に関する試験調査,2010

(い)

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