不快指数・暑さ指数
技術屋のひとり言 2020.08.31 猛暑である。お天気情報では不快指数(Discomfort Index)なるものがよく出ている。気象庁の解説によると不快指数とは、「気温と湿度による「むし暑さ」の指数。風速が含まれていないので体感とは必ずしも一致しない」とある。その計算式を調べてみると、
不快指数=0.81×T+0.01×H(0.99×T-14.3)+46.3
ここに、T(℃):気温、 H (%):相対湿度
確かに気温と湿度の関数だ。そもそも1957年に米国で冷房設計のために蒸し暑さを示す温湿度指数(Temperature Humidity Index)として用いたのが最初で、日本では61年頃から使われ始めたらしい。不快に感じる数値は人それぞれで人種によっても異なるということだが、指数70以上で不快と感じる人が出始め、75以上で半数以上が、80以上で全員が不快と感じ、86を超えると我慢できなくなるそうだ。
ちなみに下の写真は先日都内某所で撮影したものだが、右の温湿度計は気温40.0度、湿度44%を示している。これを上式に当てはめて不快指数を計算してみると90となる。もう我慢できない状況である。ところが表示の中ほどをよく見ると▲が不快ではなく快適を指している。これはおそらく湿度だけで判断しているからだろうが、いっそのこと不快指数を表示してみてはどうだろう。
一方、熱中症予防に使われているのが「暑さ指数」である。暑さ指数(WBGT)とは、Wet-Bulb Globe Temperature(湿球黒球温度)の略称で、温度の単位を持ち、気温、湿度、輻射熱より算定され、これが31℃を超えると危険とされる。暑さ指数の歴史も古く、なんと1954年にアメリカ海兵隊新兵訓練所で、熱中症のリスクを事前に判断するために開発されたらしい。こちらは計測に特殊な装置が必要なので簡単には計れないと思いきや、黒球式熱中症指数計としてAmazonなどで比較的安価で売られていたのには驚いた。これもお天気情報のホームページに熱中症情報としてWBGT近似値が提供されているのでそれを見るのが早いだろう。
これらの指標のほか、最近の気象情報提供サービスでは洗濯指数、紫外線指数、傘指数、重ね着指数、ビール指数、お出かけ指数、洗車指数、など多くの指数が示されているが、計算式等の根拠は明らかにされていないものがほとんどのようである。重ね着指数など、今日の指数を見てみると「Tシャツ一枚でもかなり暑い!」と出ているではないか。いったいどうしろというのか。。。
(た)