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神保町巡礼(其の三十一)夏目漱石 錦華に学ぶ

コラム 2019.03.05

 三月といえば卒業の季節。明治、日本、専修と大学の多い神保町ですが、今日は小学校の話です。

 御茶ノ水駅から神保町へ向かう途中、山の上ホテルの裏の坂道を下ると左に錦華公園、その奥に夏目漱石が一時学んでいた「元・錦華(きんか)小学校」(現・お茶の水小学校)があります。幼い頃、養子に出されたり戻されたりと落ち着かない人生のスタートを切った漱石は、転校生として錦華小学校にやって来ました。

 小学校の正門横に建つ石碑には「吾輩は猫である 名前はまだ無い 明治十一年 夏目漱石 錦華に学ぶ」とあります。漱石の処女作「吾輩は猫である」のあまりに有名な冒頭の一節を刻んだ石碑から、母校卒業生である文豪・漱石を誇る気持ちが伝わってきます。漱石の在籍期間は11ヶ月と短いですが、成績優秀だったため飛び級で卒業したのだとか。さすが後の文豪と納得です。

 この石碑を背に立つと、目の前に創業慶長元年(1596年)という東京最古の酒舗「豊島屋本店」が目に入りました。こちらは江戸時代に雛祭りに飲む「白酒」を売り出したり、店先で豆腐田楽を提供し居酒屋のルーツになったりと、なかなか有名なお店だそうです。写真を撮りに行った日はあいにくの小雨模様でしたが、雛祭りの直前だったこともあり店先に白酒が飾られていました。写真に収めようとスマホをかざすと、ちょうど背景に元・錦華小学校が写り込んでいました。このコラムにちなんだ写真が撮れた様で、なんだか少し得した気分で取材を終えました。(淑)

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