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地盤の液状化による地下構造物の浮上りに関する解析

解析全般 2015.11.30

1. はじめに
 シールドトンネルなどの線状地中構造物は,地震時に周辺地盤が液状化すると浮上る可能性がある.浮上りが起きる原因は図-1に示すように構造物周辺の地盤が液状化し,構造物下部へ流動化地盤が回り込むことによるものと考えられる.
 ここでは2次元FEM動的有効応力解析(FLIP)を行い,地盤の液状化が構造物に及ぼす影響について検証した.
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図-1 液状化時の変形例

2. 解析モデル
 浮上りが起きる原因は構造物下部へ流動化地盤が回り込むことによるものと考えると,構造物下部の液状化層厚が浮上り量に大きな影響を及ぼす.そこで構造物下部の液状化層厚をパラメーターとした解析を行う.構造物の形状はBOX形状とした.図-2に解析モデル図を示す.
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図-2 解析モデル図

 地盤はマルチスプリング要素でモデル化し,地表面(水位面)から20mの範囲を液状化層,20m以下を非液状化層としてパラメータを設定した.構造物は梁要素でモデル化した.
 側方及び底面は粘性境界とした.
 入力地震波は最大加速度約900galで20secの地震波を底面より入力した.

3. 解析結果
 図3-1に構造物下の液状化層厚と構造物重心位置の鉛直変位の解析結果を示す.
 また、図3-2~3-4に液状化層厚1m,5m,10m時の地盤の水平及び鉛直変位コンター図を示す.(20sec時) image7

図3-1 構造物下液状化層厚と構造物鉛直変位の関係 image8 図3-2-1 液状化層厚1m-水平変位コンター image9 図3-2-2 液状化層厚1m-鉛直変位コンター image10 図3-3-1 液状化層厚5m-水平変位コンター image11 図3-3-2 液状化層厚5m-鉛直変位コンター image12 図3-4-1 液状化層厚10m-水平変位コンター image13 図3-4-2 液状化層厚10m-鉛直変位コンター

 図3-1によると構造物下の液状化層厚と構造物鉛直変位は液状化層厚1m~7mまでは比例関係にある.このことから構造物下の液状化層厚が大きいほど構造物の浮上り量が増加する傾向にあり,影響検討を行う断面の選定の基準の一つに考えても良いと思われる.
 また,本検討では液状化層厚8m~10mにおいて鉛直変位量があまり変わらない結果となっている.これは図3-4-1に示すように,液状化による流動化地盤の水平変位が構造物の下2m~8m付近に集中していることが原因であると考えられる.
 2m~8m付近に水平変位が集中しているのは図3-5の過剰間隙水圧比が示すように,今回の地盤条件では下層の液状化層の方がより液状化しやすい条件であるためであると考えられる.
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図3-5 液状化層厚10m-過剰間隙水圧比コンター

4. まとめ
 本検討では地盤の液状化による構造物の浮上りについて,構造物下部の液状化層厚が及ぼす影響をFEM解析で検証した.
 構造物下の液状化層厚については層厚が大きければ大きいほど構造物の浮上り量は増加する結果となった.しかし,土被り厚や地盤条件が異なる場合についての検証はしていないため,特に非液状化層を挟むような地盤では挙動が変化する可能性がある.今後,効果的な対策工法も含めて様々な条件について検討していく予定である.

(す)

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