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Vol.12 叩いて固有周期

Civil Tips 2011.10.10
 常時微動を測定するなど、実構造物の固有周期を求める方法はいろいろとありますが、小規模な構造物を対象とする場合、もっとも手軽なのは、構造物をハンマーで打撃したり、引っ張っておいて急激に解放したりして生じる振動を、加速度センサーなどで計測して、周波数分析によって求める方法ではないでしょうか。
 解析的にはもちろん固有値解析によって直接求めることができますが、ここではあえて構造物のモデルをハンマーで叩いて(衝撃力を与えて)、得られた応答加速度等の周波数分析によって固有周期を求め、固有値解析の結果と比較してみました。 対象とした構造物は最も単純なRC橋脚単柱ですが、断面はテーパーの付いた小判型で、基部が1.0m×1.8m、頂部が0.8m×1.2mとしました。材料(コンクリート)および断面の入力は図1のようになります。

図1 材料および断面データ

 次に、高さ5.0mの要素を作成すると図2左のようになりますが、これでは1次モードしか計算できないので要素分割を行います。そこで、要素を選択して、10分割すると、図2中のようになってしまいます。これは要素ひとつひとつに先のテーパー断面が適用されているからで、これは「テーパー断面グループ」(図3)という機能でひとつにまとめることができます。(図2右) あとは境界条件として、柱基部を完全固定すればモデルは完成です。

図2 解析モデル

  図3 テーパー断面グループ        図4 解析モデルの基本設定


 次にハンマーの打撃を模擬した衝撃荷重を設定します。その前に、モデルの質量を設定するために、メニュー>モデル>「解析モデルの基本設定」において、自重を質量に変換にチェックを入れます。(図4)さらに、メニュー>解析>固有値解析制御において、計算する固有値の次数(ここでは10次)を設定しておきましょう。(図5)

図5 固有値解析制御

 さて、時刻歴荷重ケースを設定します。(図6)名称は「打撃荷重」、線形計算なので解析方法はモード法、減衰はゼロとしました。設定した継続時間は20秒で時間刻みは0.0001秒、すなわち周波数解析の分解能は1/2Δt=5000Hzということになります。

図6 時刻歴荷重ケースの設定

 打撃荷重は、0.1秒に10kNの荷重を与えるものとします。これは関数で与えますが、それには、メニュー>荷重>時刻歴応答解析データ>「時刻歴荷重」を選択し、「時刻歴荷重の追加」をクリックすると図7のウィンドウが出てきます。ここで関数名(ここでは「打撃」)をつけて、タイプは「力」とし、関数を定義します。例では1.0~1.02秒で10kNを載荷、除荷しています。

図7 打撃荷重の定義

 あとはこの荷重を作用させる節点を、メニュー>荷重>時刻歴応答解析データ>「時刻歴節点荷重制御データ」によって指定します。作用させる節点を選択して、「時刻歴節点荷重制御データ」のダイアログで、先に作成した時刻歴荷重ケースおよび関数を指定して「適用」します。(図8)

図8 時刻歴節点荷重の定義

 これで解析を実行すれば、固有値解析と応答解析が行われ、両者の結果が得られます。まずは固有値解析の結果から。(モード形状も表示されますが、単純なのでここでは省略)

表1 固有値解析結果

 橋脚頂部の応答加速度の時刻歴を部分的に示すと図9に示す通りです。これは時間軸でプロットしていますが、midasCivilのグラフ機能は、時間軸と振動数領域を自由に変換できます。もちろんエクセルへの書き出しも自在です。ちなみに図9を振動数領域でプロットしたのが図10です。ここで、いくつか鋭いピークが認められますが、これらは表1の固有振動数とほぼ一致しています。ここでは応答加速度で固有振動数を求めてみましたが、速度や変位でも同様なことができます。

図9 応答加速度時刻歴

図10 応答加速度スペクトル

 このような解析を行えば、固有周期を現場で測定する前に、あらかじめ打撃箇所を決めたり、測定結果から境界条件や荷重(質量)条件を逆解析で求めたりするのにも使えそうです。
 また、固有値解析の結果と測定結果が合わないときに、いろいろな方向から(解析的に)衝撃荷重を与えてみて、応答変位、加速度等を振動数領域で表示させることによって検証してみるのもおもしろいと思います。

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