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Vol.11 ソリッド要素から断面力

Civil Tips 2011.08.09
 どんなに複雑なモデルをソリッド要素や板要素で作成して解析結果を得ても、最終的には断面力で設計照査、ということはよくあります。
 梁要素の断面力は簡単に求められますが、ソリッド要素や板要素で複雑な断面を構成すると、断面力をもとめるのは結構大変です。midasCivilでは板要素やソリッド要素で構成される任意の平面の図心に作用する断面力を、その平面を構成する節点力から算出してくれます。ここでは簡単な片持ち梁を梁要素、板要素、ソリッド要素で作成し、各要素で出力した断面力を比較してみました。
 対象とした梁の断面は、図1に示すような、図心が断面上にないL型鋼(100x100x20)としました。図1は梁要素で指定した断面データですが、これと同じ断面を有する梁を板要素とソリッド要素で作成します。(図2)

図1 L型鋼梁断面データ


 梁の長さは2mとし、片持ち梁ですので、左端は完全固定支持、(ソリッド要素の節点は回転自由度を持たないので変位のみ拘束)右端は自由端としています。また、材料データは鋼材(SS400)を指定しています。

図2 各要素で構成した片持ち梁モデル

 荷重は自重ほのか、集中荷重として、自由端のL型断面端部に10kNを下方向に作用させました。(図3)その際、板要素とソリッド要素の場合には、節点にそのまま節点荷重を載荷してやればよいのですが、梁要素の場合、節点は図心にあり、断面端部にはありません。その場合、図4に示すように、「梁要素荷重」を用いて、図心から荷重載荷点までの偏心距離を与えてやればよいことになります。最終的にモデルの構成は図5に示すようになりました。(midasCivilではひとつの空間に複数のモデルを作成できます)荷重ケースは、自重と偏心荷重とに分けてあります。

図3 自由端に作用させた集中荷重


図4 梁要素荷重の設定

図5 モデルの構成

 さて、計算結果ですが、梁要素における偏心荷重載荷の場合の断面力を図6に示します。当然のことながら、板要素とソリッド要素ではこのような断面力図は出力されません。(板要素については、個々の要素に発生している断面力は出力することができます)

図6 計算結果


 さて、本題の板要素、ソリッド要素からの断面力ですが、それには「メニュー>結果>任意方向の断面力の合計」を使います。ここでは固定端の断面力を計算させてみましょう。まず、板要素ですが、図7の左側のダイアログボックスでモード:「板要素の円端をポリゴンで選択」を選びます。これを指定すると、板要素の節点で構成される多角形の断面(この場合はL型の三角形)について、その図心での断面力を計算してくれます。次に「荷重ケース」を指定し、「座標入力」で「位置」の欄をアクティブにし、梁固定端の端部節点をぐるりと選択していきます。選択する方向によって、出力される座標系が変わります。図7の例では節点7→6→8→7の順に選択しています。そして「計算」をクリックすると、モデル図上に「断面力を算定した座標系」が図心位置に表示されるとともに、計算結果が「結果出力」の欄に表示されます。また、「全荷重ケース/組合せ」をクリックすると全ての荷重ケースの結果がテキスト出力されます。(図8)これらの断面設定データは、「名称」をつけて「追加」しておけば保存しておくことができます。

図7 任意方向の断面力の合計(板要素)

図8 全ての荷重ケースの出力例

 次に、ソリッド要素の場合ですが、板要素の場合と同様に、図9の左側のダイアログボックスでモード:「ソリッド要素の面をポリゴンで選択」を選びます。これでソリッド要素の節点で構成される多角形の断面について、その図心での断面力を計算してくれます。同様に「荷重ケース」を指定し、「座標入力」で「位置」の欄をアクティブにし、梁固定端の端部節点をぐるりと選択していきます。図9の例では節点270→5→9→267→269→271→270の順に選択しています。そして「計算」をクリックすると、板要素と同様に計算結果が「結果出力」の欄に表示されます。

図9 任意方向の断面力の合計(ソリッド要素)

 最後にそれぞれのモデルで計算された固定端での断面力を比較してみました。(表1)計算する座標系の関係で、梁要素の場合だけ符号が一致していませんが、結果はすべて一致しています。

表1 計算結果の比較


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