Vol.24 粘弾性ダンパー
Civil Tips 2019.12.03制震ダンパーなどのモデル化に使用する粘弾性ダンパーの挙動を把握するために、簡単なモデルで検証を行いました。解析モデルは図-1に示すように、0.2kNの質量を持つ要素が汎用リンク要素(粘弾性ダンパー)によって左端の節点に接続する、X方向のみに自由度を持つ簡単な1自由度系モデルです。
midasCivilで使用できる非線形境界要素には粘弾性ダンパー、ギャップ、フック、弾塑性ダンパーなどがありますが、ここでは粘弾性ダンパーのフォークトモデルを選択します。フォークトモデルではダンパーの剛性kd=0とすると、減衰力の影響のみを見ることができます。なお、減衰力は図-2で与えられ、記号の説明は図-3に示す通りですが、参照速度というのはその速度で得たい減衰力となります。ここでは1.0cm/secに対して2.0kNの減衰力が得られるよう設定し、まずは速度と減衰力の影響を見るためにダンパーの剛性kd=0とし、減衰特性指数をs=0.2, 0.5, 0.8としました。
解析は図-4に示すsin波を入力加速度として非線形時刻歴解析を行いました。
解析の結果得られた減衰力とダンパー変位の関係および減衰力とダンパーの軸速度の関係を図-5に示します。これによると、減衰特性指数を大きくすると軸速度と減衰力の関係が線形に近くなるため、軸速度およびダンパー変位が減少し、エネルギー吸収が小さくなることがわかります。また、ダンパー剛性をゼロとしているため変位が片側にシフトしてしまいます。
次にダンパーの剛性kd=1.0として同様な解析を行った結果を図-6に示します。これによるとエネルギー吸収は先ほどと同様な傾向を示しますが、変位がシフトすることはなく、剛性の影響によりダンパー変位と減衰力の関係がやや右肩上がりになります。
世の中には様々なダンパーがありますが、軸速度と減衰力の関係、吸収エネルギーなど、使用するダンパーの特性をうまくシミュレートできるパラメータ設定が重要です。