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Vol.12 物性値変更(境界条件)の取り扱いについて

GTS Tips 2019.09.30

 GTS NXでは境界条件の属性変更で物性値を変更することが出来ます。
属性変更は主に、地盤改良などの対策工を表現するために用います。

 しかし、
 ・同じ属性変更を何度でも使用できるか?
 ・アクティブにした属性変更を非アクティブにしたら物性値は元に戻るのか?
 ・物性値は何度でも変更できるのか?
 という疑問があります。

 そこで、今回はGTS NX での物性値変更(境界条件)の取り扱いについて検証を行いました。

 設定した属性変更は境界条件セットという名称のグループで管理します。
 作成した境界条件セットを施工ステージで「アクティブデータ」とすることで適用させることが出来ます。  ここでは境界条件セットを「アクティブデータ」・「非アクティブデータ」の切り替えをした際の挙動を確認して、ソフト内部でどのように適用しているかを検証します。

1.検証① 変形係数による比較
 実際に簡易なモデルで検証を行いました。
 ここでは、簡易なモデルに分布荷重を作用させて変形量で比較しています。 (1)ステップ1 分布荷重載荷(変形係数そのまま)
 境界条件をアクティブにしないで単純に荷重を作用させた結果です。
 モデル中央着目点の鉛直変位は-23.337mmとなりました。

(2)ステップ1 属性変更(変形係数2倍に変更)→ ステップ2 分布荷重載荷
 モデル中央着目点の鉛直変位は-11.669mm
 ➝変形係数を2倍としたため、変位が1/2となった。

(3)ステップ1 属性変更(変形係数4倍に変更)→ ステップ2 分布荷重載荷
 モデル中央着目点の鉛直変位は-5.834mm  →変形係数を4倍としたため、変位が1/4となった。

(4)ステップ1 属性変更(変形係数2倍に変更)+分布荷重載荷
 モデル中央着目点の鉛直変位は-11.669mm
 ➝属性変更と荷重を同一ステップに設定しても解析結果は同じになる。

(5)ステップ1 属性変更(変形係数2倍に変更)+属性変更(変形係数4倍に変更)
 ➝ ステップ2 分布荷重載荷
 モデル中央着目点の鉛直変位は-5.834mm
 警告メッセージとして2回以上プロパティが変更されていると表示あり
 ➝同一ステップに2つの属性変更を設定して計算することは可能ではあるが警告メッセージが表示される。
 解析結果は変形係数4倍の結果になっているのは、境界条件セットの内部番号が大きいほうが後に適用されるためと考えられる。

(6)ステップ1 属性変更(変形係数4倍に変更)➝ ステップ2 属性変更(変形係数2倍に変更)
 ➝ ステップ3 分布荷重載荷
 モデル中央着目点の鉛直変位は-11.669mm
 ➝2回属性変更を行った場合は後のステップで適用した物性値となる。

(7)ステップ1 属性変更(変形係数4倍に変更)➝ ステップ2 属性変更(変形係数2倍に変更)
 ➝ ステップ3 属性変更(変形係数4倍に変更)※ステップ1と同じ境界条件セット使用
 ➝ ステップ4 分布荷重載荷
 モデル中央着目点の鉛直変位は-11.669mm
 ➝同じ境界条件セットは1度アクティブにすると2度目にアクティブにしたときに適用されない。

(8)ステップ1 属性変更(変形係数2倍に変更)➝ ステップ2 属性変更を非アクティブ
 ➝ ステップ3 分布荷重載荷
 モデル中央着目点の鉛直変位は-11.669mm
 ➝属性変更を非アクティブにしても物性値は元に戻らない。

(9)ステップ1 属性変更(変形係数4倍に変更)➝ ステップ2 属性変更(変形係数2倍に変更)
 ➝ ステップ3 属性変更(変形係数4倍に変更)を非アクティブ※ステップ1と同じ境界条件セット
 ➝ ステップ4 属性変更(変形係数4倍に変更)➝ ステップ5 分布荷重載荷
 モデル中央着目点の鉛直変位は-5.834mm
 ➝同じ境界条件セットをもう1度適用する場合は1度非アクティブにしてからアクティブにすると再び適用される。

2. 検証② 単位体積重量による比較
 次に属性変更で単位体積重量を変更した場合の検証を行います。

(1)ステップ1 自重解析(変位0クリア)➝ ステップ2 属性変更(単位体積重量+10kN/m3
 まずステップ1で自重解析を行います。(このとき変位をクリアして0とします。)
 ステップ2で単位体積重量を+10kN/m3としたところモデル全体が一様に沈下しました。  これは物性値の単位体積重量を10kN/m3重くしたので差分の重量が生じたためと考えられる。

(2)ステップ1 自重解析(変位0クリア)➝ ステップ2 属性変更(単位体積重量- 10kN/m3
 物性値の単位体積重量を10kN/m3軽くしたところ一様に隆起する結果となった。
 これは物性値の単位体積重量を10kN/m3軽くしたので差分の重量が上方向に生じたためと考えられる。
 ➝属性変更による物性値の変更で単位体積重量を変更する時は想定しない変形が生じる可能性があるため注意が必要となる。

3. まとめ 今回の検証により物性値変更を行う際の注意点として、
 ・複数回の変更を行う際は適用されない条件もあるので注意する必要がある。
 ・単位体積重量の変更により差分が重力方向に荷重として作用してしまうことに注意する必要がある。
 複数の地層に対して地盤改良を施工する際、改良後の物性値は地層の数だけ作成して単位体積重量が変わらないようにする等、注意して設定する必要がある。

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