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ヘルムホルツ共鳴(Helmholtz Resonant)

技術屋のひとり言 2019.06.27

 あまり聞きなれない言葉かもしれませんが、身近な現象です。ビール瓶の口元に息を吹きかけるとボーっという音を鳴らすことができますが、これがヘルムホルツ共鳴です。どのようにして音が鳴るのでしょうか。これまでそのメカニズムについて深く考えたことはありませんでしたが、ふとしたことから調べてみました。

 メカニズムは比較的単純で図に示すようにビンの口元に息を吹きかけるとビンの首にある空気が中に押し込まれます。するとビン内の圧力が高まってこれを押し返します。これがまた口元でビン内に押し込まれ、この繰り返しによって空気が振動して音が鳴るわけです。ビン内の空気をばね、首の中の空気を質量と考えると1質点系のモデルとなります。

図 ヘルムホルツ共鳴

 1質点系のモデルとなると我々がよく知っている式で固有振動数が計算できそうですが、実際、開口部の断面積や首の長さから振動数は次式のように求められています。

 ここに、c:音速、S:開口部の面積、V:内容積、L:首の長さ

 そこで、実際にどの程度の周波数が出るのか手元にあったワインボトルに水を満たし、ヘルムホルツ共鳴によってA音(440Hz)、C音(523Hz)、オクターヴ上のA音(880Hz)が出せるか実験してみました。残念ながら私には絶対音感がありませんので音程はキーボードとの比較になりますが、おおよその結果は以下の通りです。意外と高音を出すのは難しいということがわかりました。
 ワインボトルの口径は約1.8cm(断面積S=2.54cm2)、首の長さ(振動する空気の長さ)をL=2.0cm、ボトル容量を750mlとすると、圧縮される空気の容量はA音の場合、V=750−540−2.54×2.0=205cm3となりますから、音速をc =340m/sとして先ほどの周波数を求める式に当てはめてみると f = 426Hzとなりました。同様にC音はf = 507Hz、オクターヴ上のA音はf = 910Hzと算定されます。音程的にはずれていますが、数値的にはまずまずではないでしょうか。

 飲むたびに音程が低くなっていく。今日はAまでとか音で飲む量をコントロール、なんてできないですよね…

(TO)

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