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神保町巡礼(其の三十三)豊島屋本店

コラム 2019.07.03

 先日、会社にいらしたお客様と、以前コラムに書いた店の話で盛り上がりました。「夏目漱石 錦華に学ぶ」に登場した「豊島屋本店」のことです。有名な歴史小説に実名で登場すると聞き、面白そうなので調べてみました。

 佐伯泰英が書く「鎌倉河岸捕物控」シリーズがその小説で、登場人物が出入りする酒屋兼居酒屋として豊島屋は描かれています。この本を原作として「まっつぐ」というTVドラマも制作されていて、人気の程が伺えます。

 豊島屋は今年で創業423年(慶長元年/1596年)。江戸幕府成立(慶長8年/1603年)より創業が早かった事になります。後の江戸城本丸に一番近い荷揚場、鎌倉河岸に店を構えた創業者・十右衛門は商才豊かだったようで、当時高価だった灘や伏見の酒を原価で売り、空になった酒樽の販売で儲けをあげていたそうです。

 「山なれば富士、白酒なれば豊島屋」と謳われるほどその名を轟かせた白酒は、十右衛門の夢枕に立った紙雛様が製法を指南、そのとおりに作ったところ美味しい白酒が出来たと言い伝えられています。ヒットの理由は単に美味しいというだけでなく、女性がまだ人前で酒を飲むことが憚られた時代に、雛祭りに掛けて女性がおおっぴらに酒を飲める口実を提供したからでもあります。十右衛門、なかなかやりますね。

 ちなみに、江戸のガイドブック「江戸名所図会」の一巻には「鎌倉町豊島屋酒店白酒を商う図」があり、白酒に行列をなす庶民の姿が描かれています。この時と同じものが今も飲めるというのも凄いこと。来年の雛祭りには是非味わってみようと思います。(淑)

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