Vol.11 荷重セットと施工ステージ
GTS Tips 2019.07.31 今回はGTS NX での荷重の取り扱いについて検証を行いました。
GTS NXでは分布荷重や集中荷重、温度荷重などの荷重を取り扱うことが出来ます。
設定した荷重値は荷重セットという名称のグループで管理します。
作成した荷重セットを施工ステージで「アクティブデータ」とすることで荷重を作用させ、「非アクティブデータ」とすることで荷重を作用させなくすることが出来ます。
ここでは荷重セットを「アクティブデータ」・「非アクティブデータ」の切り替えをした際の挙動を確認して、ソフト内部でどのように作用しているかを検証します。
1.検証① 分布荷重
実際に簡易なモデルで検証を行いました。
ここでは、簡易なモデルに分布荷重を作用させて変形量で比較しています。
(1)ステップ1 分布荷重載荷
設定した荷重を「アクティブデータ」として単純に荷重を作用させた結果です。
モデル中央着目点の鉛直変位は-23.337mmとなりました。
(2)ステップ1 分布荷重載荷 ➝ ステップ2 何も設定しない
モデル中央着目点の鉛直変位はステップ1、ステップ2ともに-23.337mm
➝1度アクティブとした荷重セットはそのステップのみ有効であり、その後のステップには影響しない。
(3)ステップ1 分布荷重載荷 ➝ ステップ2 荷重非アクティブ
モデル中央着目点の鉛直変位はステップ1-23.337mm、ステップ2は0mm
➝荷重を非アクティブとすると荷重が除荷される。
(4)ステップ1 分布荷重載荷 ➝ ステップ2 同じ荷重セットを再度アクティブ
モデル中央着目点の鉛直変位はステップ1、ステップ2ともに-23.337mm
➝2回同じ荷重セットをアクティブにしても最初のステップのみ有効。
同じ荷重を2回掛けるためには別の荷重セットを用意する必要がある。
(1)ステップ1 集中荷重載荷
設定した荷重を「アクティブデータ」として単純に荷重を作用させた結果です。
モデル中央着目点の鉛直変位は-18.7023mmとなりました。
(2)ステップ1 集中荷重載荷 ➝ ステップ2 何も設定しない
モデル中央着目点の鉛直変位はステップ1、ステップ2ともに-18.7023mm
(3)ステップ1 集中荷重載荷 ➝ ステップ2 荷重非アクティブ
モデル中央着目点の鉛直変位はステップ1が18.7023mm、ステップ2は0mm
(4)ステップ1 集中荷重載荷 ➝ ステップ2 同じ荷重セットを再度アクティブ
モデル中央着目点の鉛直変位はステップ1、ステップ2ともに18.7023mm
➝や集中荷重は分布荷重と同じ挙動となった。
(1)ステップ1 温度荷重載荷
設定した荷重を「アクティブデータ」として単純に荷重を作用させた結果です。
モデル中央着目点の鉛直変位は0.0203mmとなりました。
(2)ステップ1 温度荷重載荷 ➝ ステップ2 何も設定しない
(3)ステップ1 温度荷重載荷 ➝ ステップ2 荷重非アクティブ
(4)ステップ1 温度荷重載荷 ➝ ステップ2 同じ荷重セットを再度アクティブ
モデル中央着目点の鉛直変位はすべてのケースでステップ1、ステップ2ともに0.0203mmとなった
➝分布荷重と集中荷重では荷重セットを非アクティブにしたとき除荷となったが温度荷重は何も変化がなかった。
(5)ステップ1 温度荷重載荷 ➝ ステップ2 荷重非アクティブ ➝ ステップ3
荷重アクティブ
1度荷重を非アクティブにした後もう1度荷重をアクティブに設定し直した。
ステップ3の変位は0.0406mmとなった。
➝同じ荷重セットを2度アクティブにしても効果がなかったが、1度非アクティブにしてからアクティブにするとによってもう1度荷重が考慮された。
4.まとめ
・荷重セットの「アクティブデータ」と「非アクティブデータ」は基本的に「載荷」と「除荷」の関係にある。
ただし、温度荷重では「除荷」にはならない等、荷重の種別によってはソフト内部での扱いが異なることがわかった。
・同じ荷重を複数回掛ける場合は掛けたい回数分の荷重セットを作成する必要がある。
(1度アクティブとして使用した荷重セットはもう1度アクティブとしても考慮されないため)
・温度荷重は非アクティブとしても除荷されないため、除荷したい場合は逆の温度となる荷重セットを作成する必要がある。
今回の検証は比較的多く用いる荷重種類で行った。荷重の種類によってソフト内部の考え方が異なることから、荷重を設定する際は、想定したとおりに荷重が考慮されているか十分に注意して設定する必要がある。
次回は境界条件セット(物性値変更)について検証を行います。