CREATEC TECHNICAL BLOG クレアテック技術ブログ

戻る

Vol.32 M-φ計算 道路橋示方書V(円形断面)

Civil Tips 2024.01.09

【はじめに】
 前回では道路橋示方書V1)に示されるコンクリートの応力ひずみ曲線を用いたM-φ計算を矩形断面にて行いました。今回は円形断面で道路協会より公開されている計算例2)を再現してみます。

1.計算例(円形)

図-1 検討断面

 

・断面条件を以下に示します。
 コンクリート強度    30N/mm2
 鉄筋強度        SD345
 直径          3m
 軸方向鉄筋       D32
 芯かぶり        150mm
 横拘束筋        D19
 横拘束筋間隔      150mm
 橋脚高さH        10m
 慣性力作用高さh     10m
 上部構造死荷重     5338kN
 単位体積重量      24.5kN/m3
 橋脚死荷重       1732kN
 軸応力         1N/mm2

 

・次に塑性ヒンジ長を算出します。
 Lp=9.5σsy1/6βn-1/3φ' ≦0.15h
 Lp:塑性ヒンジ長(mm)
 σsy:軸方向鉄筋の降伏点(N/mm2
 βn:軸方向鉄筋のはらみ出し抵抗ばね定数(N/mm2
 h:橋脚基部から慣性力作用位置までの高さ(mm)
 βn=βs+βco
 βs:横拘束筋抵抗ばね定数(N/mm2
 βs=(384×E0×Ih)/(ns×d'3×s)
 E0:横拘束筋のヤング係数(N/mm2
 Ih:横拘束筋の断面二次モーメント(mm4
 d':横拘束筋の有効長(mm)
   慣性力の作用方向と平行な横拘束鉄筋によって分割されたコンクリート部分の中で最も大きい値
   ※円形断面の場合には最外縁の横拘束筋が囲むコンクリート直径の0.8倍の値とする
 ns:横拘束筋の有効長d'が最も大きいコンクリート部分に配置される圧縮側軸方向鉄筋の本数
 s:横拘束筋の間隔(mm)
 βco:かぶりコンクリートの抵抗ばね定数(N/mm2
 βco=0.01C0
 C0:横拘束筋の有効長d'が最も大きいコンクリート部分に配置される軸方向鉄筋の純かぶり(mm)
 φ':横拘束筋の有効長d'が最も大きいコンクリート部分に配置される軸方向鉄筋のうち、
   小さい直径(mm) 40mm以上の場合は40mmとする

 

図-2 横拘束鉄筋図

 

 E0=200000N/mm2
 Ih=6533mm4       横拘束筋直径=19.1mm
 d'=2160mm
 ns=28本
 s=150mm
 βs=(384×E0×Ih)/(ns×d'3×s)
  =0.012N/mm2
 C0=134mm        芯かぶり=150mm
 βco=0.01C0
  =1.34N/mm2
 βn=1.352N/mm2
 Lp=9.5σsy1/6βn-1/3φ'  ≦0.15h=1500mm
  =724mm

 

・軸方向鉄筋の許容ひずみを算出します。
 εst2=0.025×Lp0.15×φ-0.15×βs0.2×βco0.22
  =0.0175
 εst3=0.035×Lp0.15×φ-0.15×βs0.2×βco0.22
  =0.0246
 εst2:耐震性能2の軸方向鉄筋の許容引張ひずみ
 εst3:耐震性能3の軸方向鉄筋の許容引張ひずみ
 φ:軸方向鉄筋の直径(mm)

 

・横拘束筋体積比を算出します。
 ρs=(4×Ah)/(s×d)
  =0.00566
 ρs:横拘束筋体積比

慣性力の作用方向と平行な方向に配置された横拘束筋によって分割されたコンクリート部分で最も小さい値とする
 Ah:横拘束筋1本あたりの断面積(mm2)     =573mm2
 s:横拘束筋間隔(mm)            =150mm
 d:横拘束筋有効長(mm)           =2700mm

 

・コンクリートの最大圧縮応力度に達する時のひずみを算出します。
 εcc=0.002+0.033β×(ρs×σsy)/σck
  =0.00415
 εcc:コンクリートの最大圧縮応力度に達するときのひずみ
 β:断面補正係数 矩形断面:0.4 円形断面:1.0    =1.0
 σsy:横拘束筋の降伏点(N/mm2)上限345N/mm2   =345N/mm2
 σck:コンクリートの設計基準強度(N/mm2)     =30N/mm2

 

・横拘束筋で拘束されたコンクリートの最大圧縮応力度を算出します。
 σcc=σck+3.8×α×ρs×σsy
  =37.4N/mm2
 σcc:横拘束筋で拘束されたコンクリートの最大圧縮応力度(N/mm2
 α:断面補正係数 矩形断面:0.2 円形断面:1.0 =1.0

 

・応力度-ひずみ曲線の下降勾配を算出します。
 Edes=11.2×σck2 /(ρs×σsy)
  =5163N/mm2
 Edes:応力度-ひずみ曲線の下降勾配(N/mm2

 

・横拘束筋で拘束されたコンクリートの限界圧縮ひずみを算出します。
 εccl=εcc+0.5σcc/Edes
  =0.00777

 

・曲げモーメントと曲率の算出
 以上のパラメータより算出した曲率が道路協会の計算例では以下のようになっています。

 

2.midasCivil(円形)
 ここからはmidasCivilのM-φ計算機能を使用してみます。
 まず、柱要素で計算するために図-3に示すように計算例と同断面(直径3m)、材料はFc30の鉛直要素を作成します。
 軸応力が1N/mm2となるように「初期断面力」を用いて7070kNを与えます。

図-3 計算要素図

 次にM-φパラメータを設定していきます。
 図-4の「グローバル」タブでは軸力に「初期断面力テーブル」を選択し、降伏点のタイプは「初期降伏点」とします。

図-4 M-φグローバルデータ

 図-5の「非線形特性」タブでは「Fc30の行」を選択しσ-ε関係を「道示Ⅴ(平成24年)」とします。そして「RC/PC」のボタンをクリックして鉄筋の設定を行います。

図-5 非線形特性

 図-6のRC材料の設定で「Fc30の行」を選択してから鉄筋の材料をSD345とします。

図-6 RC材料の修正

 次に図-7の「断面」タブですが、最初に「柱/橋脚」のボタンから鉄筋情報を入力します。

図-7 RC材料の修正

 図-8の鉄筋情報は該当断面を選択してから鉄筋データを入力します。
 帯筋にD19、間隔に0.15mとします。数は別途有効長を入力するので意味はなく適当な数字として下さい。
 主筋は2段目があるのでレイヤを2とし、鉄筋を入力します。「分割数」は本数のことで「Dc」がかぶりとなります。

図-8 鉄筋情報

 最後に図-9の「断面」タブで横拘束鉄筋パラメータを入力していきます。
 有効長dは2.7mとなります。dが2つありますが2つ目はd’であるため円形の場合は0.8dの2.16mとなります。
 α、βは円形の場合1.0となり、0.15hはh=10mから1.5mとなります。
 横拘束筋に囲まれた圧縮鉄筋の本数nsは計算例と同じ28とします。

 以上の設定でM-φ計算を実行しますと要素にM-φパラメータが割り当てられます。
 割り当てられました数値と計算例の数値は以下のようになりました。

 モーメント、曲率ともに全て概ね一致する結果となりました。

 

参考文献
1)道路橋示方書・同解説 V耐震設計編.(社)日本道路協会.平成24年3月
2)道路橋の耐震設計における鉄筋コンクリート橋脚の水平力-水平変位関係の計算例(H24版道示対応),(社)日本道路協会 橋梁委員会 耐震設計小委員会,平成24年5月

構造物・地盤解析サービス

建設関連調査・分析