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Vol.7 たかが偏心されど偏心

Civil Tips 2011.03.07

「断面データ」ダイアログ

 midas Civilの断面データの設定には「偏心の変更」というのがあります。これはどのような機能でどうやって使うのでしょうか。 試しに簡単な梁要素を作成し、偏心を断面の[左端―中央]に設定してみると図1のようになります。どうでしょう。偏心した方向に断面がずれて表示されています。このように偏心を設定すると、断面の図心を要素の軸線からずらして解析することができます。初期設定では断面図心と要素軸線は一致していますが、これを使うとどのような断面でもその図心を自由な位置に偏心させることができます(図2)。 でも、このように偏心させた場合、節点力や断面力はどのようになるのでしょうか。偏心させると言うことは解析上どのような処理がなされているのでしょうか。

図1 偏心の変更

図2 偏心の設定

 それを検証するためには、偏心させたモデルが偏心させない断面を使ってどのようなモデルに置き換えられるかをみてみるとわかります。そこで、図3に示すような片持ち梁の自由端に荷重をかけるようなモデルを考えます。それぞれのモデルの設定は以下の通りです。ここで、節点荷重は節点に作用し、梁要素荷重は要素(断面)図心に作用することに注意して下さい。

     偏心させないで自由端に節点荷重を載荷(基本形)
     断面[左端―中央]に偏心させて自由端に節点荷重を載荷
     断面[左端―中央]に偏心させて自由端に梁要素荷重を載荷
     支点と自由端に剛域を設けて軸線から偏心分だけ移動させ、自由端軸線に節点荷重を載荷
     支点に剛域を設けて軸線から偏心分だけ移動させ、自由端図心に節点荷重を載荷

図3 解析モデル

 さて、どれとどれが等価でしょうか。断面力の結果を見てみましょう。もうおわかりですね。図4、図5に示すとおり、曲げモーメントとせん断力はいずれも同じですが、図6から②と④にねじりモーメントが生じていることがわかります。一方、支点反力は、図7~図8に示すとおり鉛直反力および抵抗モーメントはいずれも同じですが、③と⑤にねじりの反力モーメントが生じていることがわかります。したがって、②と④、③と⑤がそれぞれ等価であるということが言えます。

図4 曲げモーメント結果

図5 せん断力結果

図6 ねじりモーメント結果

図7 支点反力

図8 支点反力(モーメント)

 すなわち、偏心を設定すると言うことは、要素をもとの軸線から剛域を設けて平行移動することにほかならず、節点での力の釣合に基づいて断面図心での断面力を計算しています。言い換えれば、解析の基本は節点をつなぐ要素軸線ですが、断面には偏心によるモーメントを載荷しており、結果も断面図心のものが出力されます。ただし、変位にはちょっと注意が必要で、例えば③の自由端変位は偏心点の変位であるのに対し、⑤は図心の変位になります。 また、静的解析の「自重」は要素荷重になるので、偏心によって生じる(自重の偏りによる)モーメントは節点において自動的に考慮してくれます。一方、「自重を質量に変換」で「物体力」を載荷した場合、これは節点荷重になるので要素には偏心によるねじりモーメントが生じるものの、節点に偏心によるモーメントは作用しないことになります。 ちなみに偏心モーメントを考慮したくない場合、すなわち見た目だけ断面をずらして表示したい場合にはメニューの「解析>解析制御データ」において、「断面偏心をPC鋼材緊張力と表示のみに適用」にチェックを入れればOKです。

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