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2次元平面ひずみ解析と3次元解析の比較-3
―地盤中の埋設管に作用する断面力―

解析全般 2022.04.28

1.はじめに
 地表面荷重が地盤中の埋設管に与える影響を解析するような条件において、主に費用の問題で2次元平面ひずみ解析が行われることが多い。この場合、地表面荷重は奥行き方向に無限に載荷されるようなモデルとなる。しかし、実問題において地表面荷重が埋設管延長方向に無限に載荷される状態はほとんどなく、有限の範囲に載荷されていることのほうが多い。
 ここでは、2次元平面ひずみ解析と3次元解析を行い、地盤中の埋設管に生じる断面積がどのように異なるかを検討した。

2.解析概要
 3次元解析のメッシュ図を図-1に示す。地表面荷重は等分布荷重を直上のみと斜め横のみに載荷した場合の2ケースを行った。管縦断方向の載荷幅は管径の約1.81倍、管横断方向の載荷幅は管径の約0.49倍である。

図-1 3次元メッシュと荷重位置

 

 また、2次元平面ひずみ解析におけるメッシュ図を図-2に示す。このメッシュは3次元メッシュの管横断面と同一で、管横断面における荷重載荷幅、載荷位置、載荷荷重も3次元解析と同じである。

図-2 2次元メッシュ(=3次元メッシュ側面)と荷重位置

 

 したがって、解析ケースは下記の4ケースである。
 ・3次元-荷重直上のみ載荷
 ・3次元-荷重斜め横のみ載荷
 ・2次元-荷重直上のみ載荷
 ・2次元-荷重斜め横のみ載荷

 埋設管のモデル化は、3次元解析ではシェル要素、2次元解析では梁要素で行い、梁要素の断面定数(I、A)はシェル要素の板厚より設定した。また、地盤は一様として埋設管の単位体積重量は考慮していない。
 解析は、下記の2ステップで行った。
  STEP1 埋設管を設置、管内は空洞として、地盤の自重を載荷
  STEP2 地表面荷重を載荷

3.解析結果
3-1 地盤の自重のみを載荷させた場合(STEP1)
 地盤の自重のみを載荷した場合に埋設管に生じた曲げモーメント分布図と軸力分布図を図-3に示す。両者の結果はほぼ一致している。この状態では3次元モデルは平面ひずみ状態であるため、当然の結果と考えられる。

(1) 曲げモーメント

(2) 軸力


図-3 地盤の自重載荷時の断面力分布図

(※グラフ化の都合上グラフは少し左に傾いている)

 

3-2 地表面に荷重を載荷させた場合(STEP2)
 地盤の自重に加えて、地表面に荷重を載荷した場合の断面力分布図を図-4に示す。ここで、実線は地表面荷重を管直上に載荷したケース、破線は地表面荷重を管斜め横に載荷したケースである。両者の分布形状は一致しているが、最大値は大きく異なる。
 また、最大断面力とそれらの値の2次元解析結果と3次元解析結果の比を表-1に示す。2次元解析結果は3次元解析結果の1.5倍から1.9倍程度の値となっている。

(1) 曲げモーメント

(2) 軸力


図-4 地表面荷重載荷時の断面力分布図

(※グラフ化の都合上グラフは少し左に傾いている)

 

表-1 最大断面力と断面力比

4.おわりに
 埋設管を有する地盤の地表面に荷重を載荷した際に、2次元解析と3次元解析の違いが埋設管に生じる断面力に与える影響を調べた。もちろん、管延長方向の載荷幅が今回は1.81Dであるが、この載荷幅が大きくなるほど3次元解析は平面ひずみ条件に近づき断面力の比は小さくなる。一方、この載荷幅が小さくなるほど平面ひずみ条件と大きく異なり断面力の比は大きくなる。2次元解析を行う場合、これらのことに留意する必要がある。

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