関連流れ則と非関連流れ則を用いた場合の解析結果の比較
解析全般 2021.08.311.はじめに
内部摩擦角が比較的大きい地盤材料の弾塑性解析において関連流れ則を用いると、降伏した場合に発生する塑性体積ひずみが大きくなり、実際よりも大きく体積膨張が生じる場合がある。 一方、同様の解析で、塑性ポテンシャルとしてダイレイタンシー角を小さく設定した非関連流れ則を用いると、塑性体積ひずみの発生が小さくなり、この体積膨張が抑えられる。 ここでは、平板載荷試験を模擬した解析で、関連流れ則と非関連流れ則で結果がどのように異なるかを調べた。さらに、ここで使用した有限要素法解析コード(MIDAS社製GTSNX)では、大変形理論の解析が行えるため、微小変形理論と大変形理論を用いた場合の違いに関しても調べた。
2.解析概要
降伏関数、塑性ポテンシャル関数ともMohr-Coulomモデルで2次元平面ひずみ解析を行った。 解析物性値を表-1に、解析モデルを図-1に示す。荷重載荷は強制変位で載荷位置において一様に載荷した。
3.解析結果
(1)変形 図-2に微小変形理論を用いた際の変形図を示す。関連流れ則では、載荷面横で大きな隆起が生じているが、非関連流れ則では、ほとんど見られない。
(2)最大せん断ひずみ 図-3に最大せん断ひずみ分布図を示す。最大せん断ひずみは、関連流れ則では広い範囲にが生じているが、非関連流れ則では載荷面端の直下に集中して生じており、比較的せん断面が出来ているように見える。
(3)塑性領域 塑性領域図を図-4に示す。非関連流れ則では強制変位載荷位置横に引張破壊が生じているが、関連流れ則では生じていない。この原因は、この部分の隆起の影響であると考えられる。
(4)荷重変位曲線 大変形解析の結果を含む荷重―変位曲線を図-5に示す。 図を見ると、非関連流れ則の場合のほうが非線形性が強く、最大沈下量も大きい。 なお、関連流れ則の2つのケースは200mmの強変位で発散しているのに対し、非関連流れ則のケースでは大変形では270mm、微小変形では360mmまで解析できている。
4.おわりに 関連流れ則を用いた場合とダイレイタンシー角を0とした非関連流れ則を用いた場合の解析を行い、それらを比較した結果、比較的大きな違いがみられた。 ここには示していないが、変形図や最大せん断ひずみ分布図には、微小変形理論と大変形理論の間に大きな違いは見られなかった。 一般に、変形の局所化は大変形理論を用いた場合に発生する言われているが、今回の解析ではとくに違いは無かった。ただし、今回の解析では収束条件や荷重ステップを詳細に調整していないため、これらの調整を細かくすれば、差が生じるような解析が出来る可能性がある。