開口のあるRC版における補強鉄筋の性能比較
FEA Tips 2021.07.28今回は、開口のあるRC版の補強鉄筋の性能評価について紹介します。解析はMidas FEAを使用し、静的非線形解析による性能検討を行いました。 今回の解析で想定する開口は、コンクリート圧送用ホースの筒先を挿入するための一時的な開口部で、開口前後で鉄筋は不連続となるが、コンクリートは充填される。
1.解析条件 材料物性を表1に示す。コンクリートはソリッド要素、鉄筋は埋め込み鉄筋要素とした。
モデルの形状を図1に示す。RC版の大きさは開口幅の5倍の2500mmとした。
主筋・配力筋・補強鉄筋の配置を図2に示す。補強鉄筋の定着長は下式より、28φとし、D25鉄筋では2000mm、D16鉄筋では1500mmとしている。鉄筋のかぶりは上側・下側ともに100mmとした。
図2 配筋図
今回の検証では補強鉄筋の性能を評価するために、主筋D25の補強鉄筋に該当する補強鉄筋「A」の鉄筋径について下に示す条件を設定した。
上述したモデルに対し、上面に面分布荷重を漸増載荷(1stepあたり10 kN/m² )し、コンクリートのひび割れ発生時と、 補強鉄筋が許容応力度(180 N/mm²)に到達した時点のたわみ量に着目し比較を行った。
2.結果 表2に各ケースのたわみ量を示し、図3に開口部端の荷重-変位図を示す。また、図4に補強鉄筋D25の条件でのひび割れ発生時および鉄筋許容応力時の応力コンター図を示す。 結果より、鉄筋の許容応力度程度の荷重レベルでは、D25~D16の補強鉄筋の変形性能はほぼ変わらないことが分かった。また、「開口なし」と「D0」の荷重-変位の推移がほぼ同じであり、補強鉄筋を入れたモデルよりは変形が大きくなっていることがわかる。これは、補強鉄筋を入れたことにより、鉄筋総量が増えたことによる影響と考えられる。