Vol.10 トンネル掘削解析におけるロックボルトの効果
GTS Tips 2018.09.05 今回はGTSNXで3次元トンネル掘削解析を行い、ロックボルトの有無で解析結果がどの程度変わるのか比較してみました。
1.解析モデル
解析モデルを図-1に示す。解析モデルは土被りを2D(D=13m)、掘削全長を50mとした。また、地盤は1層モデルとした。
2.地盤条件
地盤物性値を表-1に示す。本解析に用いる地盤条件は下表赤枠内の物性値とした。
3.掘削ステップ
掘削ステップは上半先進のベンチカット工法として上半1mピッチ,下半2mピッチで計75ステップとした。1~40ステップを図-2に示す。
掘削後の支保工(梁要素)および吹付コンクリート(板要素)は次の掘削ステップで設置する。(ロックボルトありのケースはロックボルトも設置する。)
支保工はH200相当を梁要素として設定し、吹付コンクリートは厚さ250mmの板要素として設定した。ロックボルトは埋め込みトラス要素で設定した。(図-3)
4.解析結果
(1)内空変位
最終ステップにおける掘削中央位置(図-4-1)のトンネル内空変位を図-4-2に示す。
鉛直および対角方向の変位はいずれの点においてもほぼ同じ変位量となったが、水平変位はロックボルトありの場合、最大80%程度小さくなった。(10.19mm→1.96mm)
(2)支保工断面力
最終ステップにおける支保工の断面力図を図-5-1~図-5-3に示す。
ロックボルトがある場合支保工のせん断力および曲げモーメントにはロックボルトの位置で局所的な断面力が発生している。
本ケースでは発生している断面力の数値が大きくないため影響が大きいわけではないが、ロックボルトの存在により発生断面力の最大値が大きくなることも考えられる。
(3)吹付けコンクリート断面力
最終ステップにおける吹付けコンクリートの断面力図を図-6に示す。
吹付けコンクリートの軸力はロックボルトがあることにより低減される傾向にある。
(4)地表面沈下量
最終ステップの地表面中央の沈下量は
ロックボルトなし:24.397mm
ロックボルトあり:24.517mm
であり、ほぼ変わらない結果になった。(図-7)
5.おわりに
トンネルの掘削について解析を行う場合、ロックボルトはモデル化しても効果が小さいと考えられがちです。しかし、比較検討してみると影響が小さいながらも傾向に変化がある場合もあるため、懸念がある場合にはモデル化をした方が良いと考えられます。
GTSNXでは埋め込みトラス要素や埋め込み梁要素が用意されているため、節点の共有を考えずにロックボルト等を簡単にモデル化することが出来ます。
GTSNX及び3次元解析のモデル化についてご興味をお持ちの方は是非弊社にご連絡下さい。
次回はAGF工法(注入式長尺先受工法)の効果について検討したいと思います。