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Vol.23 ファイバー要素の断面分割数の影響

Civil Tips 2019.02.05

 ファイバー要素の断面分割数によって解析結果が変わる場合があります。今回はスパン中央にPC圧着接合部があるRC梁の曲げ解析でその違いを比較してみます。


概要
 今回はRC梁の曲げ解析を行います。スパン中央にPC圧着接合部があり、圧縮縁から圧壊していく過程をシミュレーションします。

図1 解析のイメージ

 

図2 接合部付近のイメージ


対象モデル
 接合部の自由開閉を表現するため中央2要素は剛性が十分小さい線形梁要素とし、その隣接2要素をファイバー要素(コンクリートのみ)でモデル化します。その他の条件を以下に示します。
・RC部:ヤング係数40kN/mm2の線形梁要素
・PC鋼棒:ヤング係数200kN/mm2の線形トラス要素(引張専用要素)
・線形梁要素と線形トラス要素は両端と中央で剛体連結とします。
・両端にプレストレス荷重100kNを付与します。

図3 解析モデル


比較モデル
 比較するモデル化は、ファイバー要素の断面上下方向の分割数で、25分割、50分割、および100分割の3通りとします。

図4 接合部ファイバー要素の断面分割(上下方向)


解析方法
 解析は、図3に示す2点において鉛直下向きに強制変位を0から10mmまで単調増加させ、その後単調減少で0mmに戻す非線形プッシュオーバー解析(2000step)を実施します。ファイバー要素のコンクリートの弾塑性特性は下図のように設定します。

図5 コンクリートの弾塑性特性


解析結果
 図6に示すような載荷荷重-中央変位関係が得られました。25分割の場合には除荷時に異常な結果が得られてしまいましたが、50分割と100分割の場合には同様な傾向の結果が得られました。しかし、50分割と100分割の結果は一致していないため、50分割では不十分な可能性があります。

図6 載荷荷重-中央変位関係

 

まとめ
 普通のRC断面計算であれば50分割程度で十分だと思いますが、今回のようにPC圧着接合部のコンクリート圧壊を模擬する場合には50分割では十分でない可能性もあるため注意が必要なことがわかりました。今回、コンクリート圧縮のピークを迎えるあたり以降、分割数によって結果が変わってきましたが、これは圧縮縁のごく先端から圧壊が進む状況を解析するのに圧縮縁の分割幅が効いてくるためと考えられます。

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