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Vol.22 梁と床版のモデル化

Civil Tips 2018.06.29

 地中梁や上床梁のモデル化において床版と一体となっている場合にモデル化する方法がいくつかありますが、今回はそのモデル化方法を比較してみます。

対象モデル
 今回対象とするのは簡易に計算するため、四辺を壁により固定された床版の真ん中に地中梁が一本あるモデルです。各条件を以下に示します。
・壁は支点として要素は作成しない
・地盤反力を床版に面圧として載荷(10kN/m2
・材料は設計圧縮強度24N/mm2の鉄筋コンクリート
・床版厚10cm
・梁断面B=30cm、H=50cm

図1 地中梁と床版一体モデル

比較モデル
 比較するモデル化方法は以下の3つです。
 1.偏心モデル
  床版と同一節点に偏心させた梁要素を作成(偏心については「たかが偏心されど偏心」を参照ください。)
 2.剛体連結モデル
  床版とは軸位置をずらした梁要素を剛体連結(剛ばね)により結合
 3.中心モデル
  床版と同一節点に偏心させない梁要素作成

図2 比較モデル(断面表示)

図3 比較モデル(軸線表示)


解析結果
 解析結果として梁の変位コンター図とモーメント図を示します。

図4 変位コンター図(mm)

図5 モーメント図(kN・m)

この結果より考えられることを列挙し説明します。
1.偏心モデルと剛体連結モデルでは結果が一致し、中心モデルのみ異なる。
 偏心モデルは軸の位置をずらし、剛に結合しているモデルを表しているため、一致しています。また、中心モデルでは梁の軸に対しての板要素の位置が中心にあるため板要素の曲げ剛性がないため変位が大きくなり、梁要素の断面力が大きく出ています。
2.偏心モデルと剛体連結モデルではモーメント図が不連続であり、中心モデルでは連続している。
 これは板要素と梁要素が合わさった剛性で荷重を負担し、節点位置で板要素の分担分が作用しているためです。実は中心モデルでも不連続になっているのですが、1と同様に梁の軸に対して板要素の位置が中心にあるため板要素の分担分が小さいため目立っていないことによります。
ただし、要素分割を細かくすれば不連続は小さくなります。
3.変位、断面力ともに中心モデルが大きく出ている。
 これも1、2と同様です。板要素が梁の軸の中心位置のため曲げ剛性が小さく、変位が大きくなっています。

まとめ
 以上の結果より、変位と断面力を正しく評価するためには見た目を正しく表現する方が正確に表すことができることが推察されます。
 ただし、梁と床版が一体化している場合、床版は荷重分散させるためであり、部材として評価しない設計とすることがあります。この場合には梁要素に荷重を分担してもらうため中心モデルとすることが安全となることもあります。
 いずれの場合も解析者、設計者の判断によるところになりますので、判断材料として考慮してください。

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