温暖化で昆虫は北上。しかし岩手の壁か?
歳時記 2025.07.28連日の凄まじい猛暑。温暖化は酷くなるばかり。その結果昆虫は北上を続けています。 私が観察してきた昆虫の中で、北上のシンボルと言えるのが、このナガサキアゲハ(Papilio memnon)です。
江戸時代に日本史にも登場するシーボルトが長崎で採集し、それにちなんで命名されました。実はこれが我国最大のチョウです。形状の特徴としては他のアゲハチョウ科のチョウが持つ尾状突起がありません。
名前の通り南方系で、昔は関東地方では見られませんでした。小学生の頃は新幹線が無い時代。九州旅行など夢の夢で、社会の授業の時九州の地図を見てこのチョウの姿を想像していました。 したがって、北上しているとの情報は聞いていましたが、2009年に観測定点(さいたま市)でこれが飛翔する姿を目撃した時は天地がひっくり返る程の衝撃でした。そして今は関東に「普通にいるチョウ」です。
ネットではその後も北上を継続している情報が出ているのですが、どうも宮城が限界で、岩手や青森へは到達していないようです。他の北上している昆虫も「岩手の壁」は破っていないと思われます(岩手以北の情報があればご連絡を)。 これは何を意味するのか。研究されていると思いますが、結論は出ていないようです。食草の問題か、最低気温が効いてくるのか、何なのでしょうね。


(K.B)