この花が保護活動の正否を示します
歳時記 2025.05.29キンランと言います。背は30~70㎝、花は1㎝程度。花が半開きですが、こういう咲き方をします。
一見ごく普通の「野に咲く花」です。しかし、観測定点では大変重要な位置を占めていて、最も注目している植物と言っても過言でありません。尚、環境省のレッドリストでは絶滅危惧Ⅱ類(絶滅の危険がある種)となってます。特筆したいのは極めて特殊な生育の仕方をしていることです。中学や高校の授業で習ったように、植物は光合成という活動をして酸素や糖を作り出します。 ところがこのキンランは植物のくせに自分では光合成が充分にできず、コナラやカシなどの根に共生する菌類から栄養をもらわないと育たないのです。しかも、日光が当たり過ぎるとダメ、勿論当たらないのもダメなのです。
したがって、キンランが育っているかどうかが、森全体の管理が適切かどうかのバロメーターなのです。観測定点では、毎年株数をカウントしていますが、幸いなことにこの数年着実に数が増えています。
環境アセスメント対象事業等においても保全対象となることが多く、建設工事の際よく名前の上がる植物です。したがって、建設関係でもこの植物の育成を研究している会社があります。お時間あれば「キンラン」「保護」で検索してみてください。
(K.B)