気温と電気使用量
技術屋のひとり言 2018.12.262016年4月に家庭での電気契約が自由化され電力会社が選べるようになりました。当初は電力会社も少なかったので二の足を踏んでいましたが、昨年の引っ越しを機に電力会社の検討を行いました。検討の結果、新居がオール電化であったためオール電化向けのプランを出しているのが関東では東京電力以外にはほとんど無く、結局東京電力となりました。オール電化では電力自由化の恩恵は少なかったようです。
さて電力自由化と同時に聞くようになったのが電力使用量をデジタルで計測する「スマートメーター」です。これまではアナログ式のメーターでしたが、デジタル式の「スマートメーター」に変わったことで色々とできるようになっていました。一つは通信機能です。これまでは検針員が使用量をチェックしていましたが、使用量を自動で送信できるようになったようです。そしてもう一つが30分単位での電気使用量が計測可能になったことです。これによって電気の「見える化」が実現されました。
ここでは、この電気の「見える化」されたデータを用いて簡単な分析をしてみることとしました。ただし、30分毎の分析は細かすぎるので、1日ごとの電気使用量から傾向の分析をしてみます。
1.1日ごとの電気使用量をダウンロード
東京電力では「くらしTEPCO」というページで電気使用量の詳細を見ることができますので、右下の「CSV形式でダウンロード」ボタンを押してデジタルデータを入手します。1ページで一か月分なので、これを12ヶ月分ダウンロードしました。
2.1日ごとの気温データを入手
気象庁のページでは各計測点でのデータを公開していますので、その中から私の居住地に近い観測点のデータを開き気温データをコピーします。これも1ページで一か月分なので、これを12ヶ月分コピーしました。
3.EXCELで一年間の推移をプロット
横軸は日付で、縦軸に電気使用量と平均気温の2つの項目をプロットしています。単位は異なりますが、同じ縦軸としています。
少しバラツキが見えるので、移動平均を用いて3日間平均を結んだものをグラフとしました。これを見ると何かしら相関がありそうな感じがします。
4.電気使用量と平均気温との相関をプロット
横軸に平均気温、縦軸に電気使用量をプロットしてみました。
近似グラフを二次関数で作成したのですが、単純に作成すると頻度の多い気温に引っ張られるため温度(1度の範囲)ごとに平均の使用量を算出し、それに対し近似グラフを作成すると適度に使用電力と平均気温の関係を表現できました。これによると約23度を谷とする近似グラフとなっています。
ただ、実際の谷となる温度は21度程度なので21度を境として2つの線形近似グラフを書いてみました。どちらかというとこちらのグラフのほうが近似できているのではないでしょうか。
以上より私の家庭ではキレイに20〜21度を谷とした電気使用量の分布を見ることができました。これはオール電化であるため夏冬ともにエアコンを用いての温度調整を行っているためであり、ガスや灯油を使用していないためこのように気温に依存する結果となったと思われます。
また、通常は冷房と暖房では同じような効率であるはずなのですが、気温が低くなる方が勾配がきつくなっています。暖房の方が効率が悪くなっていることが推測されます。この要因は私の家が2階建ての1階にリビングがあり、リビングに階段があるため暖気が階段から上昇して逃げてしまっているためと思われます。他にも要因があるとは思われますが、一つの推測としてこのリビング階段の対策を今後は検討していきたいと思います。
このような分析が「見える化」によってできるようになりました。節電に向けて自分の生活も見直そうと思います。