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FEANX(MIDASIT)とSoilPlus(CTC)による3次元弾塑性盛土解析(Mohr-Coulomb)と結果の比較

FEA Tips 2024.09.18

 線形弾性解析では解析プログラムによる解析結果の違いは無いと言えます.(同一メッシュ条件)
 今回は弾塑性解析を同一メッシュ条件で行い,解析プログラムによる違いの有無について検証を行いたいと思います.
 使用プログラムはFEANX(MIDASIT)とSoilPlus大規模静的解析モジュール(CTC)としました.
 両プログラム共に3次元解析を扱えるのでモデルは3次元としました.

1.解析条件
 ・地盤モデル :弾塑性(Mohr-Coulomb)モデル
 ・節点数   :116781
 ・要素数   :108558
 ・底面境界条件:鉛直水平固定
 ・側面境界条件:鉛直ローラー
 ・反復計算手法:FEANX 修正Newton-Raphson法
         SoilPlus 初期剛性法(計算制御では修正Newton-Raphson法を選択)
            ※マニュアルでは修正Newton-Raphson法は使用できないと記載されているため
             初期剛性法を用いている
         収束判定基準は力:0.005,変位:0.01で統一
         (SoilPlusが初期剛性法のためFEANXも初期剛性法での計算を実施

図1-1 反復計算手法

※計算時間はPCのCPUやメモリの使用状況に大きく左右されるため参考値として示します.

                                                                                       

 解析モデルを図1-2に示します.物性値は表1に示した値を用いました.

図1-2 解析モデル

表1 解析に使用した物性値

 解析ステップを以下に示します.上載荷重は図1-3に示すように分布荷重として盛土天端に設定しました.

図1-3 上載荷重

 着目点の位置を図1-4,切断面の位置を図1-5に示します.

図1-5 切断面位置

2.解析結果
 解析結果を以下に示します.
 図2-1①~⑧に各着目点の沈下量を示します.

図2-1①

 

図2-1②

 

図2-1③

 

図2-1④

 

図2-1⑤

 

図2-1⑥

 

図2-1⑦

 

図2-1⑧

 どの着目位置でもSTEP4(上載荷重30kN/m2)までは同様の沈下量となっています.
 着目点①②③⑧ではSTEP5~6(上載荷重40~50kN/m2)でFEANXの方が若干変位が大きくなっています.

 これは弾塑性解析における塑性後の変形係数の処理に違いがあるためです.
 FEANXでは1×10-6で処理されているのに対して,SoilPlusでは1×10-3で処理されています.
 そのため塑性範囲が広くなってくるSETP5以降でFEANXの方が少し沈下量が大きくなっています.

 また,FEANXでの修正Newton-Raphson法と初期剛性法による比較ではほとんど沈下量に差がありませんでした.以降のFEANXの結果コンター図は修正Newton-Raphson法での解析結果を用います.

 図2-2に鉛直変位コンター図を示します.

図2-2 鉛直変位コンター図

 図2-3①~⑤に切断面の塑性領域図を示します.

図2-3① 塑性領域図(切断面①)

 

図2-3② 塑性領域図(切断面②)

 

図2-3③ 塑性領域図(切断面③)

 

図2-3④ 塑性領域図(切断面④)

 

図2-3⑤ 塑性領域図(切断面⑤)

 塑性領域はFEANXの方が少し広く分布する箇所があるが,概ね範囲は一致しています.

 図2-4①~⑤に切断面の鉛直変位コンター図を示します.

図2-4① 鉛直変位コンター図(切断面①)

 

図2-4② 鉛直変位コンター図(切断面②)

 

図2-4③ 鉛直変位コンター図(切断面③)

 

図2-4④ 鉛直変位コンター図(切断面④)

 

図2-4⑤ 鉛直変位コンター図(切断面⑤)

 表2に各着目点の沈下量を比較した一覧を示します.
 盛土下部が広範囲で塑性域となるSTEP6で沈下量に若干の違いがあります.
 これは前述したようにプログラムによる内部処理に違いがあることが影響していると考えられます.

表2 着目点鉛直変位

 

3.検証まとめ
 今回FEANX(MIDASIT)とSoilPlus(CTC)による3次元弾塑性解析による比較を行いましたが,弾塑性解
析における塑性後の変形係数の処理に違いがある影響で,盛土下部の地盤が広範囲で塑性化するSTEPでFEANXの方が少し沈下量が大きくなりました.
 しかし,盛土下部の地盤が広範囲に塑性域に入るような条件下では,特に粘性土の圧密沈下が問題となることから弾塑性(Mohr-Coulomb)ではなく関口太田モデル等の圧密沈下を考慮出来る構成則が用いられます.
 以上のことから,弾塑性(Mohr-Coulomb)が適用されるような地盤及び荷重条件ではプログラムによる差はほとんど無いと言えます.

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