NEWS / BLOG NEWS・ブログ

戻る

「歳時記」というのはこんな本?

歳時記 2023.02.21

メルマガはこれで150号。今月は写真は無で、私が使用している「参考文献」をご紹介します。

最初は日高敏隆著「春の数え方」で、「歳時記」のバイブルです。著者は日本動物行動学会の初代会長ですが、私の卒業した大学で「一般教養(昔はありました)」の生物学の教授でした。講義の冒頭で「世の中に偏見でない物の見方はありません。これから私の偏見を講義します」と話されたのが印象に残っています。生態系を守るとは何を守ることか、自然にやさしいという標語の曖昧さ、里山とは何か、など氏の鋭い指摘を何度も読み返しています。

次は北杜夫氏の「どくとるマンボウ昆虫記」です。著者は説明無用ですが、ウスバカゲロウ(薄羽蜻蛉)を「薄馬鹿下郎」としたユーモアのセンス、多くの作家が参考にしたと言われる美しい文章、どこを読んでも笑いと感動です。特に梅雨からセミが鳴きだすまでの季節変化の描写、芭蕉の「蝉のこゑ」のセミの種類の分析は引き込まれました。また、父親である大歌人斎藤茂吉氏に関する記述も絶妙。失礼ながらトイレにおいて用を足す度に読んでいます。

最後はムツゴロウ、畑正憲氏の作品です。こちらも説明無用ですが、氏も北杜夫氏の文章を模写して修行したそうです。 著作が膨大ですが推奨No.1は「天然記念物の動物たち」です。ヘビやサンショウウオともすぐ「友達」になってしまう氏の魔術はとてもマネできませんが、野外観察の方法や場所の選定の教科書です。

どの本も書店にはないと思いますが、ネット販売では入手可能ですので、ご興味のある方は是非!

(K.B)

構造物・地盤解析サービス

建設関連調査・分析