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せん断強度低減法におけるメッシュサイズの違いと安全率

解析全般 2020.12.21

 せん断強度低減法は、FEMを用いて斜面安定問題や支持力問題の全体安全率を評価する手法である。しかし、それにより求められる全体安全率は、FEMのメッシュの切り方に依存すると言われている。
 ここでは、FEM解析におけるメッシュサイズにより全体安全率がどのように異なるかを調べた。

1. モデルの設定と円弧すべり法の結果
 まず、斜面形状(図-1)と物性値(表-1)を設定し、そのモデルにおける円弧すべり法による計算を行い、その際の最小安全率とその円弧を求めた(図-2)。

表-1 地盤物性値

 

図-1 モデル図

 

図-2 円弧すべり計算の結果

 

2. メッシュサイズ
 メッシュサイズは下記の3ケースとした。メッシュ図を図-3~5に示す。
  ①1.0m×1.0m
  ②0.5m×0.5m
  ③0.1m×0.1m

図-3 ①1.0m×1.0mのメッシュ

 

図-4 ②0.5m×0.5mのメッシュ

 

図-5 ③0.1m×0.1mのメッシュ

 

3. せん断強度低減法の結果
 せん断強度低減法の結果における各ケースの安全率を表-2に、最大せん断ひずみ分布を図-6~7に示す。
 表-2よりメッシュサイズを小さくするほど円弧すべり法の結果に近づくことがわかる。また、最大せん断ひずみの領域もメッシュサイズを小さくするほど円弧すべり法の円弧に近づき、メッシュサイズを大きくするほど領域が大きくなりどの位置で円弧すべりが発生しているかがわかりにくい結果となった。

表-2 各ケースのFs

 

図-6 ①1.0m×1.0mの最大せん断ひずみ図(Fs=1.125)

 

図-7 ①0.5m×0.5mの最大せん断ひずみ図(Fs=1.065)

 

図-8 ①0.1m×0.1mの最大せん断ひずみ図(Fs=1.006)

 

(い)

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